ALC外壁の塗装、どの塗料を選ぶ?仕上塗材の適否と、見積もりで確認したい下地調整

オヤズナ編集部代表
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高所ロープ専門の窓ガラス清掃、外壁塗装会社を専門に調査・比較する業界特化型プラットフォーム「オヤズナ」の運営者です。
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鉄骨造のビルや工場、物流倉庫の外壁がALCパネルで、そろそろ塗り替えを考えている。複数社に見積もりを依頼したところ、塗料の名前も、下地の処理の書き方も、会社ごとにばらばらだった。どの仕様が正しいのか、判断の物差しがほしい。そのような状況ではありませんか。

ALCパネルの塗装は、一般的な外壁塗装と同じ感覚で選ぶと失敗しやすい工事です。ALCは水を吸いやすく、表面強度も小さい材料です。ALC協会は、外壁面には防水性のある仕上げが必要だとしています。塗装は「見た目を整える工事」ではなく、パネルの耐久性を守る防水の工事です。

ここでは、ALC協会の技術資料「ALCパネルの仕上げおよび防水」(第9版)と公式Q&Aを根拠に、仕上塗材の適否、下地調整、施工時の確認点、シーリングとの関係を整理します。塗装費用の相場と耐用年数の具体的な数字は、協会資料に記載がなく、裏付けとなる一次資料も確認できなかったため載せていません。そのかわり、見積もりを揃えて比べるための確認項目を挙げます。

この記事でわかること

  • ALCの外壁で、仕上塗材の「適している」「注意して使う」「避ける」の区分
  • 「防水形」と付く塗材が、ALCでは注意付きになる理由
  • 塗料の種類より、下地調整・乾燥・塗厚で差がつく点
  • 見積書で確認したい項目と、避けたい仕上げ

ALCの塗装は「防水の工事」。仕上げが必要な理由

ALC協会の資料は、ALCパネルについて、面精度が高く低収縮という長所がある一方、水を吸いやすく傷つきやすいという弱点があると説明しています。外壁では、仕上げと防水が不適切だと、漏水とパネルの耐久性低下の原因になります。寒冷地では凍害の原因にもなります。

同資料は、外壁面には防水性のある仕上げが必要で、仕上げ材の選定とその耐久性能に見合った期間での診断・メンテナンスが必要だとも述べています。維持管理が不十分だと、パネルの劣化を早めることになるという趣旨です。

塗り替えの時期は、見た目の色あせだけでなく、塗膜の防水性能が保たれているかという観点でも考える必要があります。補修と塗装の関係はALC外壁の補修、ひび割れ・欠損はどう直すかで整理しています。

仕上塗材の適否。ALC協会の選択表を読み解く

ALC協会の資料には、外壁仕上げの種類ごとに、適否を示す表があります。記号は、○が「適している」、△が「備考欄の内容などに注意の上で使用する」、-が「適用外」です。仕上塗材について、表の内容を整理します。

仕上塗材の種類適否備考(資料の記載)
複層塗材CE(セメント系吹付けタイル)○―
複層塗材Si(シリカタイル)○―
複層塗材E(アクリルタイル)○―
可とう形複層塗材CE○―
外装薄塗材E(樹脂リシン)△防水性能を確保するため、特に十分な下地処理が必要
可とう形外装薄塗材E(弾性リシン)△同上
外装薄塗材S(溶液リシン)△溶液系のため、セメント系等の下地調整塗材の選定に注意が必要
防水形外装薄塗材E(単層弾性)△透湿性が比較的低いため、下地の調整、乾燥に注意が必要
外装厚塗材E(樹脂スタッコ)△厚塗りのため、乾燥養生に注意が必要
防水形複層塗材E・RS・CE・RE△透湿性が比較的低いため、下地の調整、乾燥に注意が必要

表は、縦壁ロッキング構法と横壁アンカー構法の2つの取付け構法について、同じ区分で示されています。

「防水形」でも、ALCでは注意付きになる

見積書に「防水形」と書かれていると、防水性能が高く安心に見えるかもしれません。しかしALC協会の表では、防水形の複層塗材や薄塗材は△です。理由は、透湿性が比較的低いことです。そのため、下地の調整と乾燥に注意が必要になります。ALCパネルには放湿性・通気性があるとされており、透湿性の低い塗膜を使う場合は、下地の調整と乾燥の管理が重要になります。

ただし、△は「使えない」という意味ではありません。同資料は別の箇所で、海岸地域について、飛来した塩分が水分とともにパネル内部へ入り、補強鉄筋の腐食と表面のひび割れ・剥離を招く恐れがあると述べています。その対策として、塩化物の浸透を遮る、防水形複層塗材などの遮へい性の高い仕上げ材が挙げられています。立地や環境によって、選ぶべき塗材が変わるということです。

見積もりで確認したいのは、塗材の名前そのものより、「なぜその塗材を選んだのか」という理由です。環境条件と、備考欄の注意点への対処を、業者に書面で説明してもらってください。

下地調整が、塗装の成否を分ける

ALC協会の資料は、施工上の留意点として、次の点を挙げています。

  • 仕上げ塗材で仕上げる場合は、JIS A 6916「建築用下地調整塗材」およびJASS 23(吹付け工事)による下地調整が必要
  • ALCパネルは多孔質で吸水性が大きいため、下地調整塗材が省略されたり、塗布が不十分で塗膜の連続性が確保されなかったりすると、パネル自体の耐久性が低下する恐れがある
  • 同じ場合に、下地のキズや不陸が隠蔽できないなどの不具合が生じることがある

見積書に「下塗り」とだけ書かれ、下地調整塗材の種類や有無が読み取れない場合は要注意です。ALCの外壁では、下地調整の省略が、塗膜の見た目の問題にとどまらず、パネルの耐久性に響くと資料は述べています。

もう1点、同資料は、シーリング材の上には、硬質な下地調整材(セメント系下地調整材)による下地処理をしないよう求めています。目地の上を塗り重ねる施工をする場合は、この点も確認の対象です。

施工時の確認ポイント

同じく施工上の留意点として、ALC協会の資料は次の項目を示しています。見積もりの段階で、施工計画に含まれているかを確認してください。

確認項目資料の記載
パネルの乾燥パネル表面が雨水などで著しく濡れていないことを確認する。乾燥が不十分だと、塗膜の付着性低下、ひび割れ・ふくれ・はがれの原因になる
塗厚下地が見えるような薄吹きは避ける
目地・化粧溝目地面取り部や意匠パネルの化粧溝部は、設計膜厚を確保しにくいため、塗厚の確保に注意する
表面の清掃パネル表面に付着している油、泥、モルタル、塵埃などをきれいに除去する
養生防水・仕上げ工事を始めるまでの間も、パネルの濡れ・汚れ・破損を防ぐ適切な養生が必要
低吸水性パネル吸水性を少なくしたパネルでも、一般のパネルと同様な仕上げが必要

低吸水性パネルとして、同資料は、クリオンの「LAパネル」、住友金属鉱山シポレックスの「シポレックスドライ」、旭化成建材の「ヘーベルSIパネル」を例に挙げています。自社の建物がこうしたパネルであっても、塗装を省略してよいわけではありません。

発注前の視点

乾燥を待つ日数や、雨天時の順延は、工期に直結します。見積もりの段階で、天候による中断と再開の基準を確認しておくと、追加費用の行き違いを避けられます。

シーリングと塗装は、組み合わせで考える

ALCパネルの目地には、シーリング材が充填されています。ALC協会の資料によれば、ALCのシーリング材は、表面に仕上げ塗材で仕上げを行うのが一般的です。このため、仕上げ塗材が汚染しにくいタイプのシーリング材を選ぶこと、また、硬質な仕上げ塗材を施す場合は、塗装が割れてはがれたり、割れた部分に変形が集中してシーリング材が損傷したりすることがある、と注意されています。

シーリング材の種類の目安を示す表は、シーリング材表面に塗装を施す場合を前提にしています。表面に塗装を施さない場合は、耐久性区分9030(MS-1、MS-2)に限る、という扱いです。また、MS-1・MS-2については、シーリング材への表面塗装を事前に確認する必要があると注記されています。

見積書で確認したいのは、次の点です。

  • 塗装の前に、目地のシーリングを打ち替えるのか、増し打ちにとどめるのか
  • シーリング材と仕上塗材の組み合わせを、メーカーの情報で確認しているか
  • シーリングの上に塗る場合の下地処理は、どう計画しているか

目地の工法の違い(撤去の有無と範囲)は外壁シーリングの打ち替えと増し打ちに詳しく書いています。

ALCに避けたい仕上げ

ALC協会の表で、-(適用外)や、好ましくないとされている仕上げは次のとおりです。

  • モルタル塗り: ALCパネルに比べてモルタルの強度が大きく、硬化・乾燥収縮・反りの影響でひび割れや剥離が生じやすいため、使用を避ける
  • 石張り: パネルの表面強度が低く、重量も大きいため、避ける
  • 大型タイルを含む重い仕上げ: 設計上の留意点として、表面強度が低いため、石張り・大型タイル・モルタル塗などの重い仕上げは避けるよう明記されている

放湿性への配慮も必要です。ALCパネルには放湿性・通気性があるため、パネルの両面を密閉する仕上げは避けるよう、同資料は求めています。塗り替えで、既存の仕上げの上に透湿性の低い厚い塗膜を重ねる提案があった場合は、この観点から理由を確認してください。

寒冷地・海岸・工場。環境で変わる注意点

ALC協会の資料とよくある質問は、環境によって次の点を注意するよう案内しています。

  • 寒冷地: ALCパネルは、吸水して凍結融解を繰り返すと凍害を受けることがあります。水の浸入経路は、降雨・融雪水などが外壁面から入る場合と、内部結露などで内部から水分が入る場合に分けられます。外部の仕上げには、壁体内の湿気を外へ放出できる透湿性防水形の塗材を採用するよう、協会のよくある質問で案内されています
  • 海岸地域: 海塩粒子による補強鉄筋の腐食と、表面のひび割れ・剥離。遮へい性の高い仕上げ材が必要とされています
  • 用途が特殊な工場: パネルの含水率が高いまま高濃度の二酸化炭素に触れ続ける環境では、急な炭酸化で収縮亀裂が生じる恐れが指摘されています。醸造工場の発酵室がその例です

北海道の外壁塗装の考え方は北海道のビル外壁塗装が参考になります。

見積書で確認したい項目

これまでの内容を、見積書の確認項目にまとめます。業者に書面で回答してもらってください。

確認項目聞くこと
現状の診断既存の塗膜の劣化程度と、パネルの傷み(ひび割れ・欠損・目地)をどう確認したか
仕上塗材の種類製品名と、ALC協会の区分(○か△か)。△なら備考への対処
選定の理由立地(海岸・寒冷地・工場の用途)と、透湿性の観点
下地調整下地調整塗材の種類と、塗布の範囲。省略していないか
シーリング塗装前の打ち替えか増し打ちか。材料と仕上塗材の適合
乾燥・天候乾燥の確認方法と、雨天時の順延ルール
塗厚・目地部薄吹きを避ける仕様か。目地面取り・化粧溝部の塗厚の確保
施工方法足場・高所作業車・ロープアクセスのうちどれを使うか。選んだ理由と、塗装する範囲との関係
保証塗膜・下地補修それぞれの範囲と期間

保証書の見方は外壁塗装の保証書、何に注意するか、相見積もりの取り方は外壁塗装の相見積もり、何社から取るべきかが参考になります。

ここまで整理しても、自社の外壁がどの区分に当たるか、どの仕様が適しているかは、現地を見なければ判断できません。仕様の確認から相談したい場合は、見積もりを依頼する方法もあります。

費用と耐用年数について、確認できたこと・できなかったこと

「ALCの塗装の相場はいくらか」「何年持つのか」は、よく聞かれる質問です。この記事では、具体的な金額と年数は載せていません。

ALC協会のよくある質問では、パネルの耐用年数は一律ではなく、使用条件、吹付やシーリングといった仕上げ材のグレード、メンテナンスの実施状況によって変わると回答されています。条件が整い、定期的な維持管理を行えば、50年を超える使用も可能とされています。ただし、これは仕上げ材の塗り替え周期ではなく、パネルそのものの耐用年数についての回答です。塗料ごとの塗り替え周期や、1㎡あたりの単価は、同協会の資料に記載がありません。

業者のブログなどに並ぶ単価は、塗料の種類、下地調整の有無、足場の条件が揃っていなければ、見積書と比べられません。まず仕様を揃え、その上で複数社の金額を比較してください。塗料の耐用年数の一般的な考え方は外壁塗装、次はいつ必要かにまとめています。

よくある質問

Q. ALC外壁に適した塗料は何ですか。
A. ALC協会の表では、複層塗材CE(セメント系吹付けタイル)、複層塗材Si(シリカタイル)、複層塗材E(アクリルタイル)、可とう形複層塗材CEが○(適している)です。薄塗材や防水形の塗材は△で、備考欄の注意点を踏まえて使用します。

Q. ALCの塗装方法で、特に気をつけることは何ですか。
A. 下地調整(JIS A 6916の建築用下地調整塗材、JASS 23による)を省略しないこと、パネルが濡れていない状態で施工すること、薄吹きを避けることです。目地面取り部や化粧溝部の塗厚の確保にも注意が必要だと案内されています。

Q. ALC外壁の下塗り材は何を使いますか。
A. ALC協会の資料は、JIS A 6916「建築用下地調整塗材」とJASS 23による下地調整材を用いた下地処理を求めています。具体的な製品は、塗料メーカーやシーリング材メーカーに確認するよう案内されています。

Q. 防水形の塗料を選べば安心ですか。
A. ALC協会の表では、防水形複層塗材は△です。透湿性が比較的低いため、下地の調整と乾燥に注意が必要とされています。海岸地域では遮へい性の高い仕上げ材が必要とされるなど、条件によって判断が分かれます。

Q. 塗装の費用相場と耐用年数はどれくらいですか。
A. ALC協会の資料に、塗料ごとの単価や塗り替え周期の記載はありません。パネル自体の耐用年数は、適切なメンテナンスを施せば50年を超える使用も可能とされています。見積もりは、仕様を揃えて比較してください。

Q. 既存の塗膜の上に、厚く塗り重ねてもよいですか。
A. 同資料は、ALCパネルの放湿性・通気性を考慮し、パネルの両面を密閉する仕上げは避けるよう求めています。塗り重ねる場合は、透湿性の観点を業者に確認してください。

まとめ

ALC外壁の塗装は、塗料の種類を選ぶ工事というより、水を入れない状態を確実に作る工事です。仕上塗材の区分、下地調整、乾燥、塗厚、シーリングとの組み合わせという5つの観点で、見積もりの仕様を揃えて比べてください。

塗装の仕様や足場の要否まで含めて比較したい方は、oyazunaの無料見積もりフォームに、建物の状況を入力してください。

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