足場・ゴンドラ・ロープアクセスで歩道にかかるとき、道路使用許可は誰が申請して費用は誰が負担する?発注前の確認ポイント

足場・ゴンドラ・ロープアクセスで歩道にかかるとき、道路使用許可は誰が申請して費用は誰が負担する?発注前の確認ポイント
オヤズナ編集部代表
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高所ロープ専門の窓ガラス清掃、外壁塗装会社を専門に調査・比較する業界特化型プラットフォーム「オヤズナ」の運営者です。
高所ロープ会社での勤務経験を有し、現場視点と業界理解をもとに情報発信を行っています。また、労働安全衛生法に基づく高所作業関連講習を修了しており、安全管理および高所作業に関する基礎知識を有しています。
オヤズナでは、各社の公式サイト・公開情報・施工実績情報をもとに、「安全性(保険加入・資格情報)」「実績(創業年数・施工事例)」「対応力(エリア・階数・緊急対応)」などの独自基準でデータを整理・比較。これらのオリジナルデータベースをもとに、公平性と透明性を重視した記事制作および情報監修を行っています。

外壁補修や窓ガラス清掃の見積書を見比べていて、業者によって「道路使用許可申請費」の欄があったり、なかったりすることに気づいたことはありませんか。

道路や歩道に面した建物では、高所作業のために歩道へ立入禁止の区画を設けたり、資機材を積んだ車両を道路脇に停めたりする場面が出てきます。こうした行為には、警察署長の許可が必要です。許可を取るのは誰か、費用は誰が負担するのか、そもそも自分の工事に必要なのか。契約前に整理しておかないと、着工直前になって「許可が下りていないので、日程が延びます」と告げられることになりかねません。

この記事では、警察庁・警視庁などの公式情報をもとに、道路使用許可と道路占用許可の違い、足場・ゴンドラ・高所作業車・ロープアクセスそれぞれで何が問題になるか、そして発注者が見積もりの段階で確認しておきたいポイントを整理します。

 

道路使用許可と道路占用許可は、別の許可である

混同されやすいのですが、この2つは根拠となる法律も、許可を出す窓口も異なります。

道路使用許可は、道路交通法77条にもとづく許可です。許可を出すのは、その場所を管轄する警察署長です。道路で工事や作業をするとき、交通の妨げとなる行為を一時的に行うことについて、交通の安全と円滑を守る観点から審査されます。

道路占用許可は、道路法32条にもとづく許可です。許可を出すのは、国道・都道府県道・市町村道ごとの道路管理者です。電柱や看板、工事用の足場のように、物件を設けて継続的に道路を使用することが対象です。

道路法施行令7条には、占用許可の対象となる物件として「工事用板囲、足場、詰所その他の工事用施設」が明記されています。警察庁も、工作物の設置を伴う場合は道路使用許可と道路占用許可の両方が必要になる場合があると案内しています。

整理すると、足場の脚部や張り出し部分が道路にかかる場合は両方の許可が、足場は組まずに作業帯を設けたり車両を停めたりするだけなら道路使用許可が、問題になるのが基本です。ただし、実際の判断は管轄の警察署や道路管理者が行うため、個別の工事ごとに確認が必要です。

許可を受けるのは、発注者か、施工業者か

道路交通法77条1項1号は、許可を受けなければならない者を、「道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人」と定めています。条文上は、工事をしようとする者(発注者)も、請負人(施工業者)も、許可の対象者として並んでいます。

実務では、現場の作業計画や交通誘導の体制を作成できる施工業者が申請者となるのが一般的です。ただし、これは法律で一律に決まっているのではなく、契約の中で誰が申請し、費用を誰が負担するかを取り決める話です。

ここに、発注者の確認ポイントがあります。見積書に「道路使用許可申請費」が計上されているか、計上されていない場合は、申請を業者が行うのか、費用はどこに含まれているのかを、契約前に確認しておくことが重要です。

無許可で道路を使用した場合の罰則は、道路交通法により3か月以下の拘禁刑(旧・懲役)または5万円以下の罰金です。許可に付された条件に違反した場合も、同じ罰則の対象になります。道路法の占用許可を受けずに道路を占用した場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と、さらに重くなります。法人にも罰金刑が科され得る両罰規定が設けられています。

罰則を科されるのは、直接の違反者である施工業者が中心です。しかし、許可が下りないまま着工日を迎えれば、工事の中止や延期という形で、発注者のスケジュールにも影響が及びます。

発注担当者へ
契約前に、次の点を業者に確認してください。
  • 道路使用許可(警察署)・道路占用許可(道路管理者)のうち、この工事に必要なものはどれか
  • 申請を行うのは誰か、手数料・図面作成・交通誘導員の費用は見積書のどこに入っているか
  • 許可の取得に必要な期間を見込んだ工程になっているか
  • 管轄の警察署・道路管理者に事前相談を済ませているか
  • 許可条件(作業時間帯・作業帯の範囲など)を守る体制になっているか

工法によって、何が問題になるのか

高所作業の工法ごとに、道路との関わり方は異なります。

足場

足場が最も多くの手続きを要する工法です。足場や養生シート、朝顔が道路上空や歩道にはみ出す場合は、道路占用許可が必要になります。足場の組立・解体時にトラックを道路脇に停める場合は、道路使用許可も取ります。占用許可は、足場が立っている期間全体が対象です。

占用許可の基準には、足場の出幅や、歩行者のために確保すべき歩道の残り幅などが定められています。自治体や道路の種類によって基準が異なるため、設計段階で道路管理者との協議が行われます。

ゴンドラ

神奈川県警察の道路使用許可取扱要綱では、道路使用許可の1号許可(工事・作業)の区分に、道路工事や管路埋設工事などと並んで「ゴンドラ作業」が独立して定められています。許可期間の基準は1か月以内です。さらに、作業中以外の時間はゴンドラその他の物件を道路上空に懸垂したり道路上に置いたりしないこと、作業時間は原則として昼間とすることが、許可基準として示されています。

これは神奈川県警察の要綱の内容であり、他の都道府県では基準が異なる場合があります。ゴンドラを使った窓ガラス清掃や外壁工事を道路に面した建物で行う場合は、管轄の警察署の基準を、業者に確認してもらってください。ゴンドラ工法そのものの法規制は「ゴンドラ工法とは?常設型・可搬型の違いと法規制」で解説しています。

高所作業車

高所作業車を道路上に据え付けて作業する場合は、道路使用許可の対象です。車両の停止位置、作業帯の範囲、交通誘導員の配置などが、許可申請の道路使用状況図(作業帯図)に記載されます。10m基準による資格の違いなど、高所作業車そのものの規制は「高所作業車とは?消防車との違い、10m基準による資格の違い」を参照してください。

ロープアクセス

ロープアクセスは、足場を組まず、屋上や建物の躯体にロープを固定して作業する工法です。足場がないため、占用許可の対象になる「足場」はありません。

一方で、建物の足元に落下物への備えとして立入禁止の区画を設けたり、資機材を積んだ車両を道路脇に停めたりする場合は、道路使用許可が問題になり得ます。道路や歩道にかかる作業帯の範囲、作業の内容、交通量によって判断が分かれるため、「無足場工法だから道路の手続きは不要」とは言い切れません。

神奈川県警察の要綱を確認する限り、「ロープアクセス」という独立した区分は見当たりません。実際の扱いは警察署ごとの判断になるため、現地調査の段階で、業者が管轄の警察署に事前相談しているかを聞いておくと安心です。現地調査の流れは「ロープアクセスの現地調査、何を確認される?」で解説しています。

申請にかかる費用と、見積書に入るべき項目

警視庁の案内では、工事・作業の道路使用許可申請の手数料は2,700円です。この手数料は審査手数料であり、納付後の返還は原則としてできません。手数料の額は都道府県によって異なります。

ただし、実際の費用は手数料だけでは終わりません。見積書に入るのは、主に次のような項目です。

申請書類の作成費用(作業帯図などの図面作成を含む)、申請・受領のための人件費と交通費、交通誘導警備員の人件費、保安施設(カラーコーン、バリケード、案内板など)の設置費用です。

交通誘導警備員については、高速自動車国道などでの警備業務や、都道府県公安委員会が指定する路線では、検定合格警備員の配置が必要とされています。検定合格警備員は一般の警備員より単価が高くなるのが通常のため、道路の種別によって、見積額に差が出ます。

道路占用許可の申請を伴う足場工事では、占用料が別途かかる場合があります。占用料の額は、国道・県道・市道といった道路の種別や、占用する面積、期間によって決まります。

見積書を比較する際は、金額の大小の前に、こうした項目が計上されているかを揃えて確認します。申請関係の費用が他社では計上されていて、1社だけ計上されていない場合は、契約後に追加請求となる可能性があります。

許可に必要な書類と、申請から許可までの期間

警視庁の案内によると、工事・作業の場合の申請書類は、道路使用許可申請書のほか、工事概要、現場案内図(周辺の見取図)、緊急時の連絡先、道路使用状況図(作業帯図)、交通量調査結果などです。内容によって、すべてが必要とは限りません。受付は、管轄警察署の交通規制係で、平日の午前8時30分から午後4時30分までとされています。

許可基準は、道路交通法77条2項により、次のいずれかに該当する場合は許可しなければならないとされています。現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき、許可に付された条件に従って行うことで交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき、交通の妨害となるおそれはあるが公益上または社会の慣習上やむを得ないと認められるときです。

許可までの期間は、警察署や工事の規模によって異なります。警察庁は、大規模な工事については、十分な時間的余裕をもって事前相談をするよう案内しています。国道や都道での工事、交通への影響が大きい工事では、事前協議が必要になる場合があります。

発注者として意識しておきたいのは、許可の手続きにも一定の日数が必要だということです。工事の希望日が決まっている場合は、見積もりの依頼の段階で、「道路使用許可が必要な場合は、その手続きに要する期間を見込んだ工程にしてほしい」と伝えておくと、日程の食い違いを防げます。窓ガラス清掃のように繰り返し行う作業では、許可期間の基準も確認しておいてください。

見積もり依頼の前に確認しておくこと

建物がどの道路に面しているか(国道・都道府県道・市町村道・私道)、歩道の有無、作業のために歩道へ区画を設ける可能性があるか、車両を停める場所が敷地内にあるか。この4点を整理して、複数社に同じ条件で伝えるだけで、見積書の項目が揃いやすくなります。

業者によって、道路関係の手続きを「見積に含む」「別途実費」「発注者が自分で申請」のどれで扱っているかが異なります。見積書が届いたら、金額に加えて、許可申請の担当者と費用の扱いを確認してください。

oyazunaでは、高所ロープ作業に対応できる施工会社を掲載しており、無料の見積もり依頼フォームから、建物の所在地・階数・希望する作業内容を送るだけで、複数社への相談ができます。依頼時に「前面道路の種別と歩道の有無」を一言添えると、道路関係の手続きを含めた見積書が揃いやすくなります。見積もりから着工までの全体の流れは「見積もり依頼から契約・着工まで、どんな流れで進む?」にまとめています。

よくある質問

Q. 私有地の中だけで作業が完結する場合も、許可は必要ですか。
A. 道路交通法上の「道路」は、公道に限らず、不特定の人や車が自由に通行できる場所を含みます。私有地の中だけで作業が完結する場合は、一般には道路使用許可の問題になりませんが、敷地の一部が通り抜けに使われているなど、道路に該当するかどうかが微妙な場合は、管轄の警察署に確認してください。

Q. 窓ガラス清掃のような短時間の作業でも、許可は必要ですか。
A. 作業時間の長短ではなく、道路を使用する態様で判断されます。歩道上に区画を設けて歩行者を迂回させる、車両を道路上に停めて作業するといった行為があれば、短時間でも許可の対象となり得ます。

Q. 許可は施工業者が取ってくれるのでしょうか。
A. 実務では施工業者が申請するのが一般的ですが、法律上は発注者も許可の対象者です。契約書や見積書で、誰が申請し、費用をどちらが負担するかを明確にしておくことが、トラブルの予防になります。

Q. 手数料以外に、費用はどのくらいかかりますか。
A. 道路の種別、作業帯の規模、交通誘導警備員の人数や日数によって大きく変わります。手数料のほか、図面作成、申請の人件費、警備員の費用が実質的な負担になるため、見積書の内訳で確認してください。

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