閉店・改装のタイミングで看板を撤去することになったけれど、費用がいくらかかるのか、会計上どう処理すればいいのか、はっきり分からないままではありませんか。
特に高い場所に設置された看板は、撤去にも専門的な作業が必要になるため、思っていたより費用がかさむケースもあります。
この記事では、看板撤去の費用相場を種類別に整理したうえで、会計処理(勘定科目)、自治体への届出、撤去を業者に依頼する際の注意点まで、国土交通省の公表資料や会計専門サイトの情報をもとに解説します。
- 看板撤去の費用は種類・サイズによって異なり、目安は1万〜3万円程度。基礎の解体や高所作業車が必要な場合は10万円以上になることもある
- 撤去費用の会計処理は「固定資産除却損」が基本だが、建て替え目的か修繕目的かで勘定科目が変わる
- 許可を受けて設置していた看板を撤去する場合、自治体への届出が必要になることがある
看板の撤去を検討すべきタイミング
看板の撤去を考えるきっかけには、大きく分けて次のようなケースがあります。
- 店舗の閉店・移転・テナント退去: 賃貸借契約に原状回復義務が定められている場合、退去時に看板を撤去し、壁面の穴やビス跡を補修して元の状態に戻す必要があります
- 看板の劣化・老朽化: 定期点検で錆や腐食、取付金具の緩みが見つかり、補修より撤去の方が合理的と判断されるケース。看板の法定点検で異常が見つかった場合の選択肢の一つでもあります
- 建て替え・リニューアル: 新しい看板に作り替えるため、既存の看板を一旦撤去するケース
- 屋外広告物条例違反の是正: 行政から指導を受け、是正のために撤去するケース
撤去の目的によって、後述する会計処理(勘定科目)も変わってくるため、どのケースに当てはまるかを最初に整理しておくと、見積もりや経理処理がスムーズに進みます。
看板撤去の費用相場: 種類別
看板撤去の費用は、看板の種類・サイズ・設置状況によって変わります。複数の看板業者・解体業者が公開している料金情報を並べると、次のような幅があります。
| 看板の種類 | 撤去費用の目安 |
| スタンド看板(置き看板) | 約10,000円 |
| 壁面看板 | 約15,000〜30,000円 |
| 袖看板(突出看板) | 約15,000〜30,000円 |
| 内照式看板 | 約15,000〜25,000円 |
| 野立て看板(自立看板) | 約15,000〜30,000円 |
| テント看板 | 約20,000円 |
これらはあくまで撤去作業のみの目安です。実際の総額は、看板本体の撤去に加えて処分費用が別途かかるのが一般的で、処分費用まで含めると8万円程度からになるという情報もあります。
基礎(コンクリート土台等)の解体まで必要な場合は、10万円以上になることも珍しくありません。
費用が高くなりやすいケース
看板撤去の費用は、次のような条件が重なると高くなる傾向があります。
- 基礎の解体が必要な場合: 野立て看板・ポール看板など、地中に基礎を打っているタイプは、基礎の撤去工事が別途必要になり、費用が大きく上乗せされます
- 高所作業車・足場が必要な場合: 壁面看板・袖看板・屋上看板など、建物の高い位置に設置されている場合、撤去にも高所へのアプローチ手段が必要です
- サイズが大きい場合: 看板が大きいほど、作業員の人数や作業時間が増え、費用も上がります
- 電飾・内照式看板の場合: 電気配線の処理が必要になるため、通常の看板より作業工程が増えることがあります
具体的な金額は、実際に現地を見てもらわないと判断が難しいため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
看板撤去の会計処理(勘定科目)
看板撤去にかかった費用をどの勘定科目で処理するかは、撤去の目的によって変わります。複数の会計専門サイト・クラウド会計サービスの解説を整理すると、次の4パターンに分けられます。
| 撤去の目的 | 使う勘定科目 |
| 看板を使わなくなり、廃棄・撤去する(建て替え予定なし) | 固定資産除却損 |
| 建て替え・作り直しを目的に既存の看板を解体・撤去する | 新しい看板の取得価額に含める(新設工事の一部として扱う) |
| 看板の一部が壊れ、その部分を解体して復旧する | 修繕費 |
| 台風・地震などの災害で破損した看板を撤去する | 災害損失 |
看板が固定資産として計上されており、まだ帳簿価額(簿価)が残っている状態で撤去する場合、残っている簿価は「固定資産除却損」として損失計上します。看板本体の撤去費用・処分費用も、あわせて固定資産除却損に含めて計上できます。
なお、除却(帳簿上で資産を消す処理)と廃棄(物理的に処分する行為)は会計上区別されており、税務上は実際に廃棄が完了するまで損金に算入できない点に注意が必要です。廃棄業者からの廃棄証明書や、撤去前後の写真など、実際に処分したことを示す証憑を保存しておきましょう。
これらの証憑は、固定資産管理台帳とあわせて、法人であれば7年程度を目安に保存しておくとよいとされています。判断に迷う場合は、顧問税理士に確認することをおすすめします。
また、簿価がまだ残っている看板をすぐに廃棄せず、使用を停止した状態で除却処理だけ先に行う「有姿除却」という方法もあります。廃棄費用を後回しにしたい場合の選択肢として、あわせて税理士に相談してみるとよいでしょう。
撤去後の原状回復も忘れずに
看板を撤去すると、取付金具のビス穴や、看板の跡だけ日焼けの色が異なる、といった状態が壁面に残ることがあります。特にテナント退去にともなう看板撤去では、賃貸借契約の原状回復義務にもとづき、壁面の穴埋め・補修・再塗装まで求められるケースが少なくありません。
看板撤去の見積もりを取る際は、看板本体の撤去費用だけでなく、跡地の補修まで対応してもらえるかを確認しておくと、後から追加費用が発生する事態を避けられます。外壁の穴埋め・補修については、外壁補修対応の高所作業業者一覧もあわせてご覧ください。
看板を撤去する際、自治体への届出が必要な場合がある
屋外広告物法にもとづく許可を受けて設置していた看板を撤去する場合、多くの自治体で「除却届」等の完了報告が必要とされています。
特に、高さ4mを超える、または面積10㎡を超えるような看板は、設置時に「管理者」(屋外広告士や講習修了者等)の選任が必要とされており、撤去に際しても同様の手続きが関係してくることがあります。
許可を得ずに設置していた看板(無許可広告物)の場合は、そもそも是正・撤去の対象となり、行政からの指導や、悪質な場合は代執行の対象になることもあります。
自社の看板がどちらに該当するかは、過去の許可申請の記録を確認するか、所在地の自治体窓口に問い合わせて確認しておくと安心です。
なお、看板撤去に対する自治体の補助金制度の有無・条件は自治体ごとに異なるため、断定はできません。気になる場合は、所在地の自治体(景観・屋外広告物の担当窓口)に直接確認することをおすすめします。
撤去と建て替え、どちらを選ぶべきか
看板の劣化が見つかった場合、「撤去して終わりにするか」「新しい看板に建て替えるか」で迷うことがあります。判断のポイントとして、次の点が挙げられます。
- 集客・ブランディングへの影響: 看板は企業や店舗の「顔」であり、撤去したまま何も設置しない期間が長引くと、来店客の認知に影響が出ることがあります
- 屋外広告物の許可期間: 屋外広告物の許可期間は看板の種類によって1年・2年・3年が一般的です。許可更新のタイミングで、そのまま更新するか、建て替えを機に仕様を変更するかを検討する事業者も多いようです
- 会計上の扱いの違い: 前述の通り、単純撤去なら固定資産除却損、建て替え目的の解体なら新しい看板の取得価額に含める、という違いがあります。建て替えを予定しているかどうかで、経理処理の方針が変わる点も判断材料になります
建て替えを行う場合、新しい看板の設置には改めて屋外広告物の許可申請が必要になることがあります。申請から許可までは2〜4週間程度かかる自治体が多いとされているため、閉店・改装のスケジュールと合わせて余裕を持って動くことをおすすめします。
高所の看板撤去はなぜ専門業者が必要なのか
壁面看板・袖看板・屋上看板の多くは、人の手が届かない高さに設置されています。撤去作業では、看板本体を取り外し、クレーンで吊り下ろし、支柱を切断して基礎まで撤去する、といった一連の工程を安全に行う必要があります。
高所へのアプローチには、足場を組む方法のほか、高所作業車やロープアクセス工法(無足場工法)を使う方法があります。足場の設置には仮設期間がかかりますが、ロープアクセスや高所作業車であれば、足場の設置・解体を伴わない分、工期とコストを抑えられる可能性があります。
どの方法が自社の看板に適しているかは、設置場所や周辺環境(道路の有無、隣接建物との距離など)によって変わるため、現地を確認できる専門業者に相談するのが確実です。看板作業に対応する高所作業業者の一覧もあわせてご覧ください。
自分で撤去する際の注意点
小型のスタンド看板であれば自分で撤去できる場合もありますが、壁面看板・袖看板・屋上看板など高い位置に設置されたものを自分で撤去しようとすると、次のようなトラブルにつながることがあります。
- 脚立や不安定な足場からの転落・落下事故
- 電飾看板の場合、電気配線の処理を誤ることによる感電・漏電のリスク
- 基礎部分を残したままにしてしまい、後から追加費用で解体を依頼することになる
- 屋外広告物の許可を受けていた看板の場合、自治体への完了報告を忘れてしまう
費用を抑えたい場合でも、高所での作業や電気配線が絡む撤去は、専門業者に依頼することをおすすめします。
業者を選ぶときに確認したいポイント
- 撤去・処分・基礎解体まで含めた総額を提示してくれるか: 「撤去費用のみ」の安さだけで比較すると、後から追加費用が発生することがあります
- 高所作業車・ロープアクセスなど、設置状況に応じた工法に対応できるか: 建物の高さ・周辺環境によって適した工法は変わります
- 自治体への届出まで代行・案内してくれるか: 許可を受けていた看板の場合、完了報告が必要になることがあります
- 廃棄証明書等、会計処理に必要な書類を発行してくれるか: 固定資産除却損として計上する際の証憑になります
見積もりは1社だけで決めず、複数社から取って比較することをおすすめします。撤去費用だけが極端に安い場合、処分費や跡地補修費が別途高額になっていたり、基礎解体が含まれていなかったりすることがあります。総額の内訳を確認したうえで判断しましょう。
よくある質問
Q. 看板撤去の費用相場はいくらですか?
A. 看板の種類・サイズによって異なり、撤去のみで1万〜3万円程度が目安です。処分費用や基礎の解体費用が加わると、総額はさらに上がり、10万円以上になることもあります。
Q. 看板撤去費用の勘定科目は何ですか?
A. 建て替え予定がなく廃棄する場合は「固定資産除却損」が基本です。建て替え目的の解体は新しい看板の取得価額に含め、一部復旧目的の解体は「修繕費」、災害による撤去は「災害損失」として処理します。詳細は顧問税理士に確認することをおすすめします。
Q. 看板を撤去する際、自治体への届出は必要ですか?
A. 許可を受けて設置していた看板の場合、多くの自治体で除却届等の完了報告が必要です。無許可で設置していた看板は、そもそも是正・撤去の対象になっている可能性があるため、状況を確認しておきましょう。
Q. 看板撤去の補助金はありますか?
A. 自治体によっては景観是正等を目的とした支援策がある場合があるとされていますが、具体的な制度内容は自治体ごとに異なります。気になる場合は所在地の自治体窓口に直接確認してください。
Q. 高い場所にある看板は自分で撤去できますか?
A. 壁面看板・袖看板・屋上看板など高所にあるものは、転落事故や電気配線のトラブルにつながりやすいため、専門業者への依頼をおすすめします。
Q. 看板は撤去と建て替え、どちらを選ぶべきですか?
A. 集客・ブランディングへの影響、屋外広告物の許可更新のタイミング、会計処理の違いなどを踏まえて判断します。単純に撤去するだけなら固定資産除却損、建て替えなら新しい看板の取得価額に含めるという違いがあるため、経理処理の方針も判断材料になります。
まとめ
看板撤去の費用は、看板の種類・サイズ・設置状況によって幅があり、撤去のみなら1万〜3万円程度が目安ですが、基礎解体や高所作業が絡むと総額は大きく変わります。
会計処理は「固定資産除却損」が基本ですが、撤去の目的によって勘定科目が変わるため、判断に迷う場合は税理士に確認しましょう。
また、許可を受けて設置していた看板を撤去する際は、自治体への届出が必要になることがあります。高い場所にある看板は、転落事故等のリスクを避けるためにも、自分で撤去せず専門業者に相談することをおすすめします。
「看板を撤去したいが費用や手続きが分からない」という場合は、現地調査から見積もりまで対応できる業者に相談してみてください。