外壁塗装を検討し始めると、「足場を組むのにどれくらい時間がかかるのか」「足場代はいくらか」「近隣に迷惑をかけないか」など、次々と疑問が出てきませんか。
足場の存在そのものが、外壁塗装に踏み切れない理由になっているという声も少なくありません。
この記事では、外壁塗装の足場に関するよくある疑問(期間・費用・騒音・トラブル)を、法令や警察庁統計などの一次情報も交えて整理したうえで、「そもそも足場を組まない」という選択肢であるロープアクセス等の無足場工法について解説します。
- 足場代は種類によって異なり、くさび式足場600〜1,200円/㎡、枠組足場900〜1,500円/㎡程度が目安。戸建て1棟の総額は15万〜25万円程度が目安
- 高さ5m以上の足場の組立・解体には、国家資格である「足場の組立て等作業主任者」の配置が法律上義務付けられている
- 「足場があると空き巣に狙われやすい」という話は業界で言われているが、警察庁の統計上、足場と侵入窃盗を直接結びつけたデータは確認できなかった
足場の設置・解体にはどれくらいの期間がかかるか
一般的な2階建て住宅の場合、足場の組み立ては1日、解体は半日程度で終わるとされています。資材の運搬から組立・解体まで全て含めると、およそ1.5〜2日間というのが複数の塗装業者に共通する目安です。マンションや複雑な形状の建物では、これより長くかかることがあります。
ただし、これはあくまで「順調に進んだ場合」の目安です。敷地が狭く隣家との隙間が狭い、道路と敷地に高低差がある、前面道路に搬入・搬出車両が駐車できない、といった立地条件によっては、設置・解体により多くの時間がかかることがあります。
足場代の相場: 種類・建物規模別
足場代は「足場の種類」と「設置面積」で決まります。複数の足場業者・専門サイトの情報を突き合わせると、種類別の㎡単価はおおむね次の通りです。
| 足場の種類 | ㎡単価の目安 | 特徴 |
| くさび式足場(ビケ足場) | 600〜1,200円 | 戸建てで最も一般的。組立・解体が早いが、打ち込み時に音が出る |
| 枠組足場 | 900〜1,500円 | 安定性が高く中高層向き。設置スペースを要し、単価もやや高め |
| 単管足場 | 700〜1,200円 | 部材を自由に組み合わせられ、狭小地・複雑な形状への対応力が高い |
| 部分足場 | 700〜1,000円 | 建物の一部のみを対象にする場合に使用。大規模工事には不向き |
建物規模別の総額目安は、2階建て住宅(30坪前後)で15万〜25万円程度、3階建て・狭小地住宅で25万〜35万円程度、アパート・集合住宅では50万〜200万円以上と幅があります。
狭小地や傾斜地では、手運搬の増加や材料量の増加により単価が上振れするケースもあるとされています。(足場の種類によってもコスト差が出る)
ある専業者の試算では、戸建て(250㎡相当)で枠組足場が約50.5万円、くさび式足場が約39.5万円と、同じ規模でも工法によって10万円以上の差が出た例が紹介されています。
ビル・マンションなど大規模建物の場合
戸建て住宅とビル・マンションでは、足場にかかる費用の規模が大きく異なります。
アパート・集合住宅クラスになると、足場代だけで50万〜200万円以上になることも珍しくありません。共用部の養生や手すり部分の追加作業が必要になる場合、総額はさらに上振れします。
ビル・マンションの外壁塗装・補修では、足場の設置スペースを確保しにくい都市部の狭小敷地や、営業中のテナントビルであることも多く、足場か無足場工法かの判断がよりシビアになります。
判断材料として、無足場工法(ロープアクセス)側の作業内容別の単価目安も参考にしてください。
| 作業内容(ロープアクセス) | 費用目安(1㎡あたり) |
| 調査点検(打診調査) | 200〜700円 |
| 外壁清掃 | 200〜1,000円 |
| 塗装作業 | 3,000〜7,000円 |
| 高所の補修作業 | 1,000〜7,000円 |
1人工あたりの相場は2万〜4万円程度が目安とされています。ただし、ロープアクセスは少人数での施工になりやすく、広範囲の全面塗装では多人数で同時進行できる足場の方が総合的に効率的な場合もあります。
建物の規模・形状・営業状況を踏まえ、部分的な範囲ならロープアクセス、全面改修なら足場、といった使い分けを提案してくれる業者に相談するのが確実です。
高層ビル対応の高所作業業者一覧、商業施設対応の高所作業業者一覧もあわせてご覧ください。
足場の組立・解体時の騒音問題
足場の組立・解体では、大きな音が発生します。特に戸建て住宅で使われることが多い「くさび式足場」は、部材をハンマーで打ち込んで緊結するため、金属の打撃音が周囲に響きます。
一方、枠組足場はボルト締結が中心のため、比較的騒音が少ないとされています。騒音が発生しやすい時間帯として、午前8〜10時・午後3〜5時が挙げられるケースが多いです。
近隣とのトラブルを避けるため、工事着工の1週間前までに近隣挨拶を済ませておくのが一般的な実務とされています。
挨拶の際は、工事期間・作業時間・休日作業の有無・業者名と連絡先を伝えておくと、多少の不便は許容してもらいやすくなるようです。
「足場があると空き巣に狙われやすい」は本当か
外壁塗装業者のコラムには、「足場が設置されることで建物への侵入経路ができやすくなる」「工事中は家人が不在になりがち」といった理由で、工事中は空き巣リスクが高まるという注意喚起が数多く見られます。
足場が建物の窓や2階部分への足がかりになり得ること自体は物理的な事実ですので、心配な場合は、防犯カメラ作動中を示す表示を足場に掲げる、工事期間中は施錠を徹底するといった対策を業者に相談しておくと安心です。
足場の組立・解体に必要な資格
足場の組立・解体・変更作業には、法律にもとづく資格制度があります。
- 高さ5m以上の足場(つり足場・張出し足場を含む): 労働安全衛生法第14条・同法施行令第6条第15号にもとづき、「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了した者の中から作業主任者を選任する義務があります(同法第565条)。これは国家資格で、3年以上の実務経験等の受講資格が必要です
- 足場の組立て・解体・変更の作業に従事する労働者全般: 上記の作業主任者とは別に、労働安全衛生法第59条第3項にもとづく特別教育(法定の安全教育)の受講が義務付けられています
つまり、無資格者が足場の組立・解体を行うこと自体が法律違反です。見積もり時に、作業主任者・特別教育修了者が現場に配置されるかを確認しても問題ありません。
「足場代無料」には要注意
外壁塗装業者の中には、「足場代無料」「近所で工事をしているので足場代をサービスします」といった営業トークを使う業者がいますが、これはほぼ実態のない謳い文句とされています。
足場の設置には資材費・人件費・車両費が実際にかかるため、無料にする場合は、他の工事項目(塗装費用等)に上乗せして帳尻を合わせているだけというケースが多いようです。
「足場代無料」「大幅値引き」「モニター価格」といったセールストークは、悪徳業者の典型的な手口として挙げられていますので、見積もりを比較する際は、足場代を含む総額と内訳を必ず確認しましょう。
足場が組めない・悩みが多い場合の2つの選択肢
足場に関する不安が大きい場合、大きく2つの方向性があります。
選択肢1: 足場の種類を変える
足場そのものをやめるのではなく、現場条件に合った種類に変更する方法です。前述の通り、単管足場は部材を自由に組み合わせられるため、狭小地や複雑な形状の敷地への対応力に優れています。
ただし、安定性・耐久性の面では枠組足場に劣り、長期間の使用や高所作業にはあまり向かないとされています。まずは業者に「他の足場の種類で対応できないか」を相談してみる価値があります。
選択肢2: 足場を使わない無足場工法にする
足場をどの種類に変えても対応できない場合や、そもそも足場代・騒音・工期を丸ごと避けたい場合は、ロープアクセス・高所作業車・ゴンドラといった無足場工法が選択肢になります。
ロープアクセス工法
屋上などから専用のロープを垂らし、安全器具を装着した作業員が壁面に直接アプローチする工法です。作業に必要なスペースの目安は40cm程度とされ、狭小地や隣地が近い現場でも施工しやすいのが特徴です。
無足場工法の中では比較的低コストに収まりやすい傾向があります。ロープ高所作業には「ロープ高所作業特別教育」の受講が法律上義務付けられています。
高所作業車
車両に搭載されたアームで作業床を高所まで持ち上げる工法です。車両の進入・駐車スペースが必要なため、狭小地では利用できないことがあります。
ゴンドラ
屋上に設置した昇降装置でゴンドラを吊り下げて作業する工法です。高層ビルの面的な作業に向いていますが、屋上に設置スペース・設備が必要です。
無足場工法なら、足場の悩みはどう変わるか
ここまで挙げてきた足場に関する悩みが、無足場工法(特にロープアクセス)によってどう変わりうるかを整理すると、次のようになります。
| 足場工法での悩み | 無足場工法(ロープアクセス)の場合 |
| 設置・解体に1.5〜2日程度かかる | 仮設工程自体が不要なため、その分の日数がかからない |
| 足場代が1棟あたり15万〜25万円程度かかる | 足場代そのものが発生しない。部分塗装・部分補修では総額を抑えられる可能性がある |
| 組立・解体時に打撃音が出る | 組立・解体作業がない分、音の発生源が少ない |
| 足場が窓や2階部分への足がかりになるとの指摘がある | 短期間・必要箇所のみの作業で、足場のような常設の構造物が敷地に残らない |
| 隣地の使用に承諾が必要になることがある | 作業幅40cm程度で完結する場合、隣地への越境が不要になることがある |
| 洗濯物や庭木への影響が出やすい | 足場で敷地を覆わない分、生活動線への影響を抑えやすい |
ただし、これは「無足場工法なら必ず全て解決する」という意味ではありません。次の章で触れる制約もあるため、自社の建物・工事内容に合うかどうかは、現地調査を依頼して確認する必要があります。
無足場工法にも制約がある
- 養生ができない: 足場のように建物全体をシートで覆えないため、塗料の飛散が許容されにくい密集地では、逆に不向きな場合があります
- 天候に左右されやすい: 強風・雨天時は安全のため作業を見合わせることが多く、工期が天候に影響されやすい傾向があります
- 建物全体の全面塗装には不向きな場合がある: 広範囲を対象にした全面塗装では、少人数体制のロープアクセスより、多人数で同時進行できる足場の方が効率的なケースもあります
- 資格者による施工か確認する: ロープアクセス作業には「ロープ高所作業特別教育」の受講が法律上義務付けられています。見積もり時に資格保有状況を確認しましょう
業者を選ぶときに確認したいポイント
- 足場工法・無足場工法の両方を提案してくれるか: 一方の工法しか扱っていない業者は、自社の得意な工法に誘導しがちです。両方の選択肢を提示したうえで見積もりを比較できる業者だと安心です
- 現地調査で隣地・立地条件を確認してくれるか: 図面だけでなく、実際に現場を見て工法を提案してくれるかを確認しましょう
- 「足場代無料」を強調していないか: 前述の通り実態のない謳い文句であることが多いため、総額と内訳を必ず確認しましょう
- 作業主任者・特別教育修了者が現場に配置されるか: 足場工法・無足場工法いずれも、有資格者による施工かどうかを必ず確認しましょう
よくある質問
Q. 外壁塗装で足場を組むのにどれくらい時間がかかりますか?
A. 一般的な戸建て住宅で、設置1日・解体半日程度が目安です。ただし狭小地や隣地との距離が近い現場では、これより時間がかかることがあります。
Q. 足場を組まない方法はありますか?
A. ロープアクセス・高所作業車・ゴンドラといった無足場工法が選択肢になります。中でもロープアクセスは作業幅40cm程度で施工できるとされ、狭小地に強い工法です。ただし養生ができない、天候に左右されやすいといった制約もあります。
Q. 足場代はいくらですか?
A. 足場の種類により異なり、くさび式足場600〜1,200円/㎡、枠組足場900〜1,500円/㎡程度が目安です。戸建て住宅1棟分では15万〜25万円程度になることもあります。無足場工法であれば、この費用自体が発生しない場合があります。
Q. 足場があると空き巣に狙われやすいというのは本当ですか?
A. 外壁塗装業者の間ではそのように注意喚起されていますが、警察庁の統計で足場の有無と侵入窃盗を直接結びつけたデータは確認できませんでした。足場が窓や上層階への足がかりになり得ること自体は物理的な事実のため、心配な場合は防犯対策を業者に相談するとよいでしょう。
Q. 足場の組立・解体には資格が必要ですか?
A. はい。高さ5m以上の足場の組立・解体・変更には、国家資格である「足場の組立て等作業主任者」の配置が労働安全衛生法で義務付けられています。それ以外の作業者にも、法定の特別教育の受講が別途必要です。
Q. 「足場代無料」の業者は信頼できますか?
A. 慎重に検討すべきです。足場の設置には実際の費用がかかるため、無料を謳う場合は他の項目に上乗せしているだけというケースが多いとされています。総額と内訳を必ず確認しましょう。
まとめ
外壁塗装の足場は、期間・費用・騒音・法定資格など、検討段階で確認すべきポイントが多くあります。
一般的な戸建てであれば設置・解体は1.5〜2日程度、費用は足場の種類によって15万〜25万円程度が目安ですが、狭小地や隣地との関係によっては、これ以上に手間がかかることもあります。
「空き巣に狙われやすい」という話には公的な統計の裏付けはないものの、注意を払っておく価値はあるでしょう。
足場に関する悩みへの対応は、足場の種類を変える方法と、ロープアクセス等の無足場工法に切り替える方法の2つがあります。どちらが自社の建物に適しているかは、現地調査を依頼して確認することが大切です。
「足場のことで工事に踏み切れない」「足場代無料の業者に不安がある」という場合は、足場工法・無足場工法の両方を提案できる業者に一度相談してみてください。外壁塗装に対応する高所作業業者の一覧もあわせてご覧ください。