窓ガラス清掃の見積もりは、「人工(にんく)計算」か「平米数計算」で算出されるのが一般的です。
ただし実際には人工計算で見積もりを出す業者が多く、平米数での見積もりはどちらかというと補助的な位置づけです。
また、どちらの方式を採用する場合でも、屋上の作業環境や建物の形状によって追加費用が発生するケースが多いため、それだけでは正確な金額が出せないことも少なくありません。
この記事では業界の実態に基づいた見積もりの仕組みを、発注担当者向けにわかりやすく整理して解説します。
見積もりは「人工計算」か「平米数計算」で出される
窓ガラス清掃の料金算出方法は、大きく分けて「人工計算」と「平米数計算」の2パターンです。
どちらが採用されるかは現場の規模・工法・会社の方針によって異なります。
| 見積もり方式 | 計算の考え方 | 単価目安 | 主な採用ケース |
| 人工計算 | 作業員1名が1日(8時間)稼働する単位で計算する方式 | 25,000〜30,000円/人日半日の場合:約15,000円 | 小規模・短時間で終わる現場や工法がシンプルな場合 |
| 平米数計算 | 窓ガラスの面積(平方メートル)に単価をかけて計算する方式 | 両面:150〜200円/平米片面:80〜100円/平米 | 面積がわかりやすい中〜大規模ビルや定期清掃契約 |
管理担当者が知らない「ロープの降下回数」が費用を左右する
料金の仕組みで多くのマンション・ビルの管理担当者が見落としがちな重要なポイントがあります。
それは「建物の高さ」ではなく「ロープを何回降りなければならないか」が作業時間、ひいては費用に直結するという考え方です。
しかし実際は建物の「横幅(間口)」と「ロープを降りる回数」によっては、3階建ての方が高くなるケースがあります。
なぜそうなるのか? ロープ降下の仕組み
ロープアクセス作業では、作業員は屋上から1本のロープで降りられる横幅(作業範囲)が限られています。
そのため、建物の横幅が広いほど「何度もロープを張り直して降りる」必要が生じます。
この「ロープを降りる回数」が作業時間に直結し、費用を決定します。

| A. 3階建て(横長ビル) | B. 5階建て(縦長ビル) | |
| 外観の特徴 | 低層だが横に広い間口。一見作業しやすそうに見える | 高さはあるが間口が狭くコンパクトな形状 |
| ロープ降下回数 | 3回 | 2回 |
| 作業時間 | 降下3回分の時間がかかる (ロープ設置・降下・撤去を3セット) |
降下2回分で完了。作業員1本分の段取り時間を節約できる |
| 見積もり | 高くなりやすい | 安くなりやすい |
見積もりを依頼する前に確認すべきこと
この考え方を踏まえると、見積もりを依頼する際には平米数だけでなく「建物の間口(横幅)」と
「ロープを何本・何回張る必要があるか」を業者に確認させることが精度の高い見積もりにつながります。
料金の目安
人工単価の目安
人工とは「作業員1名が1日(約8時間)稼働する単位」のことです。現場の作業量をこの単位で換算し、料金を算出します。
- 通常の1日現場(8時間):1名あたり25,000〜30,000円
- 半日現場(4時間程度):1名あたり約15,000円
「2名×1日」なら50,000〜60,000円、「3名×2日」なら150,000〜180,000円が目安です。
平米数計算の目安
窓ガラスの面積に単価をかけて料金を算出する方式です。
内外両面を清掃する場合は150〜200円/平米、片面のみの場合は80〜100円/平米が目安です。
| 面積・条件 | 平米単価 | 料金目安 | 補足・想定条件 |
| 100平米(片面) | 80〜100円/平米 | 8,000〜10,000円 | 単純な外壁形状・屋上に支点あり・標準的な条件 |
| 100平米(両面) | 150〜200円/平米 | 15,000〜20,000円 | 内外両面清掃。内側作業の段取り・移動が追加 |
| 200平米(両面) | 150〜200円/平米 | 30,000〜40,000円 | 中規模ビル相当。ロープ1〜2本で対応可能な現場 |
| 500平米(両面) | 150〜200円/平米 | 75,000〜100,000円 | 中層ビル相当。 複数名・複数日の対応になることが多い |
→ 200平米×150〜200円 = 30,000〜40,000円が料金の目安です。
仮設ゴンドラが必要な場合の費用
屋上からのロープ作業が難しい高層ビル・特殊形状の建物では、仮設ゴンドラの使用が選択されることがあります。
この場合、清掃の平米費用に加えてゴンドラ設置費が15〜20万円程度別途かかります。
| 費用項目 | 料金目安 | 内容・補足 |
| 仮設ゴンドラ設置費 | 150,000〜200,000円 | 搬入・組立・解体・搬出の費用。 建物規模や設置難易度によって変動 |
| 清掃作業費(平米) | 150〜200円/平米 | 作業員がゴンドラに乗った状態での清掃費。 通常の平米単価と同水準 |
| 合計イメージ(200平米) | 180,000〜240,000円 | ゴンドラ設置費+200平米分の清掃費の合算。 面積が大きいほど割安 |
面積が大きくなるほどゴンドラの費用対効果が改善します。
追加料金が発生するケースと計算方法

上で説明した人工・平米単価はあくまで「標準的な条件」での話です。
屋上の環境や建物の形状によって作業に余分な時間がかかる場合は、その時間分の人件費が追加で計上されます。
これが追加料金の実態です。
| 追加料金が発生するケース | 料金が増える主な理由 | 具体的な内容 |
| 丸環(固定支点)なし | 支点設置の段取り時間 | ロープを固定する丸環が屋上にない場合、仮設アンカーや代替支点の確保が必要。 段取りに余分な時間がかかる |
| オーバーハング | 迂回ルートの作業時間 | 軒・庇などが外壁より出っ張った形状。 ロープを垂直に降ろせないため、ぶら下がりながら横移動するペンデュラム作業が発生 |
| セットバック(壁面の凹み) | 養生+慎重な降下時間 | 壁面が段々状に引っ込んだ形状。 ロープが建物の角に擦れるため、擦れ箇所への養生(プロテクター設置)と慎重な降下が必要 |
| 壁面を汚せない箇所 | 慎重な作業による時間増 | 外壁素材がデリケートな部分や装飾材の近く。 水・洗剤を使う量や位置を慎重にコントロールする必要があり、1平米あたりの作業時間が伸びる |
計算例:セットバックにより作業員がプラス3時間かかる場合、3時間分の人件費(約9,000〜11,000円)を加算します。
追加料金の計算イメージ(具体例)
計算例1(セットバックあり)
200平米の清掃で通常1日で終わる作業が、セットバックの養生・慎重降下によりプラス3時間かかった場合、3時間分の人件費(約9,000〜11,000円)が基本料金に加算されます。
計算例2(複数要因が重なる場合)
丸環なし+オーバーハングなど複数の追加要因が重なると、1現場で30,000〜50,000円以上の追加が発生することも。
標準の倍近い時間がかかるケースでは実質的に人工単価が倍近くなる場合もあります。
作業人数と工期の目安
実際に何名の作業員が何日かかるかは、面積・工法・建物状況によって変わります。
見積書に「人数」「工期」の記載がない場合は必ず確認するようにしてください。
| 窓ガラス面積 | 人数目安 | 工期目安 | 補足 |
| 〜200平米 | 1〜2名 | 半日〜1日 | 小規模ビル相当。 条件が良ければ作業員1名+地上確認者1名の2名体制で対応可能 |
| 200〜500平米 | 2〜3名 | 1〜2日 | 複数ロープを同時展開。 監督者1名+作業員1〜2名が標準的な体制 |
| 500〜1,000平米 | 3〜4名 | 2〜3日 | 複数チームで対応。 現場の複雑さによっては工期が延びることも |
| 1,000平米以上 | 4名以上 | 3日以上 | 大規模案件。ゴンドラとロープの併用も検討。要現地調査 |
安全管理の観点から
ロープアクセス作業は原則として最低2名体制(作業員+地上安全確認者)が必要です。
「1名での作業」を提案してくる業者は安全管理の観点から注意が必要です。
地上監視員が必要な場合
公道・歩道に面した現場や交通量の多い場所では、作業員とは別に地上監視員の配置が必要になるケースがあります。
その場合は監視員の人工費(1名あたり25,000〜30,000円/日)が別途加算されます。
見積もり時に「監視員は含まれているか」を必ず確認してください。
資材搬入費について
ロープ・機材・洗浄道具などの搬入・搬出に費用がかかるケースがあります。
特に駐車スペースがない都市部の現場や、搬入経路が限られる建物では別途搬入費が加算されることがあります。
見積書に記載がない場合は事前に確認しておくと安心です。
工法の選び方とコスト比較
清掃方法は建物の高さ・形状・周辺環境によって異なります。
以下の比較を参考に、見積もり依頼の際の前提確認として活用してください。
| 工法 | コスト | 安全性 | 特徴・向いているケース |
| ロープアクセス | コスト最小 | 安全 | 足場不要で最もコスト効率が高い。 屋上に丸環等の支点が必要。標準条件なら最もおすすめ |
| 仮設ゴンドラ | 設置費+平米 | 安全 | 設置費15〜20万円が別途発生。 面積が大きい高層ビルで採用されることが多い |
| 高所作業車 | 中程度 | 安全 | 低層(目安15m以下)かつ地面・スペースに余裕がある場合向き。 公道作業は規制が必要 |
| 仮設足場 | 高コスト | 最も安全 | 安全性は最高。 ただし設置・撤去費が高く、窓清掃のみでの採用は割高。大規模修繕と同時施工向き |
発注前に確認すべきポイント
適正な料金で発注するために、見積もりを取る前・取った後に以下を必ず確認してください。
- 現地調査を必ず依頼する
- 見積書に「人工数・面積・追加要因」が明記されているか確認する
- 複数社から相見積もりを取る
- 資格・保険の確認
現地調査を必ず依頼する
電話・メールだけの概算見積もりでは、追加料金が発生するかどうかを正確に判断できません。
屋上に丸環があるか、セットバックやオーバーハングの有無は現地を見なければ把握できないためです。
「現地調査なし」の業者には注意が必要です。
見積書に「人工数・面積・追加要因」が明記されているか確認する
適正な見積書には、作業員の人数・人工数、清掃面積(平米)、追加料金が発生する場合はその理由と時間換算が記載されます。
これらが不明瞭な場合は内訳の提示を求めてください。
複数社から相見積もりを取る
高所作業の費用は業者によって大きく異なります。
最低3社から相見積もりを取り、単価の根拠・追加料金の説明の丁寧さ・現地調査への姿勢を比較材料にしてください。
価格だけでなく安全管理・資格保有の確認も忘れずに。
資格・保険の確認
高所ロープ作業では、資格保有と賠償責任保険への加入が安全管理の最低基準です。
書面での事前確認を依頼してください。
まとめ
窓ガラス清掃の料金は「人工計算か平米数計算」で算出されますが、それだけでは正確な見積もりにならないケースがあります。
屋上の丸環の有無・オーバーハング・セットバックなどの建物状況が作業時間に影響し、その分が追加料金として計上される仕組みです。
「なぜその金額なのか」を業者に説明させることが、適正価格で発注するための最も有効な方法です。
もし「どの会社に相談すればよいか分からない」「高所作業に対応できる業者を探している」といった場合は、オヤズナの無料相談も活用してみてください。
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まずは相談だけでも問題ありませんので、窓ガラス清掃会社を探している方は参考にしてみてください。